このマニュアルは、大規模地震において活用することを想定した避難所運営の基本マニュアルです。
各避難所運営委員会が主体となり、避難者と共に指定避難所の開設・運営に当たる際の基本的な対応項目と行動の流れを整理しましたので、マニュアル作成時にお役立て下さい。
避難所の開設基準
避難所の開設については、以下のとおりとする。
(1) 震度5弱の場合
被害状況等により、災害対策本部から指示があった場合に開設する。
(2) 震度5強以上の場合
全ての避難所が、災害対策本部の指示なく開設する。
避難所の主な運営業務
(1) 避難所の開設
(2) 避難者の受入れ
(3) 避難者の生活支援
(4) 情報の収集、提供
(5) 食料・水・生活物資等の確保、配給
活動班
総務班
1 主な任務(規約第5条)
(1) 避難所運営全体の調整
(2) 関係機関との連絡調整
(3) 災害時の地域住民への広報
(4) 報道機関等の対応
(5) ボランティアの統括
2 総務班の活動内容
(1)組織編成の管理【調整担当】
ア 避難所運営委員会名簿の作成
・各班を組織して名簿を作成する。
・名簿を掲示板に掲示して避難者に周知する。
イ 避難所運営委員会会議の開催
・避難所運営に係る重要な事項を協議し決定する。
・定期的に運営委員会会議等を開催する。
・避難所開設後は、避難所運営会議を概ね1日に1回程度開催する。
(2) 連絡調整【調整担当】
ア 避難所内各班との連絡調整
・連絡調整会議を開催して各班の意見交換及び問題事項等の協議を行う。
イ 避難所担当職員が行う地区市民センターとの連絡調整補助
・各種報告・要請等を行う。
《報告・要請の種類》
・避難所等状況の報告(避難者数、世帯数、周辺状況等)
・食料、生活物資等の配給要請
・ボランティアの派遣要請
ウ トラブルへの対応
・避難所内でトラブルが発生したときには、速やかに対応する。
(3) 在宅避難者等に対する支援【調整担当】
ア 在宅避難者等に対する支援方法を決定する。
イ 在宅避難者等の名簿を作成する。
ウ 在宅避難者等に対する情報の収集、発信や物資の配給を行う。
(4) 関係機関との情報連携【情報担当】
ア 情報の収集
・避難所各班から各種情報を収集する。
・テレビ、ラジオ、新聞等から各種情報を収集する。
・近隣の避難所と情報交換し、地域の情報を収集する。
イ 情報の提供
・掲示板等を設置し、各種情報を避難者に提供する。
・避難者同士が情報交換できるよう伝言板コーナー等を設置する。
・掲示板や放送設備等を使用して避難者に各種情報を提供する。
《必要となる情報》
【初動期】
・安否情報
・被害情報
・医療救護情報
・生活物資、飲料水、食料等の情報
【展開期・安定期】
・ライフラインなどの復旧情報
・仮設住宅に関する情報
・生活再建に関する情報
・応急教育に関する情報
(5) 通信手段の確保【情報担当】
ア 特設公衆電話の設置
・特設公衆電話の設置や使用方法について調整する。
イ 電話等による呼び出し
・避難者への電話等による呼び出しは、掲示板等により伝言する。
ただし、本人の同意がある場合に限る。
(6) 渉外業務【情報担当】
ア 報道機関等の対応
・取材や問い合わせ等 対する窓口として対応を行う。
・提供する情報を集約する。
※被災者の安否情報等は、被災者のプライバシーに配慮し公開する。
※取材の申し入れがあった時には、取材者用受付用紙に記入してもらい、取材内容や公表日等を記録する。
(7) ボランティアの受入れ・配置【受援担当】
ア 受付名簿の作成・管理
イ 必要人員の把握及び要請(一般ボランティア・専門ボランティア)
ウ 各種業務への配置
エ ボランティアリーダーの選出
保健班
1 主な任務(規約第5条)
(1) 医療救護所の設置及び運営
(2) 要配慮者への支援
(3) メンタルケア
(4) 衛生環境の保全
(5) 防疫対策
2 保健班の活動内容
(1)負傷者等の救助【救護担当】
ア 応急処置等の実施
・保健室等の確認及び応急処置を避難者等と協力して行う。
イ 医療救護所や後方医療機関への移送
・必要に応じて移送の手続き及び連絡調整を行う。
ウ 救護所の開設
・医療救護所併設の避難所においては、救護所の開設準備を避難者等と協力して行う。
(2) 要配慮者への支援【救護担当】
ア 要配慮者の見守り
・定期的な見守り、声掛けを継続する。
・異変を確認した場合は総務班へ報告する。
イ 福祉施設等への移送対応
・避難所での健康維持が難しい要支援者の移送等に協力する。
(3) 避難者のメンタルケア【救護担当】
ア メンタルケアの環境設定
・医療救護所内でスペースを確保する。
・精神的な不調を訴える避難者がいないか確認する。
(4) 衛生環境の保全【衛生担当】
ア 共用施設の清掃
・共用施設については、避難者に当番を割り振り、定期的に清掃を行う。
イ 感染症・食中毒予防
・手洗い所を確保し、消毒液を配置する。
・避難者に対し手洗い・うがいを呼び掛け徹底させる。
・感染症の疑いがある者が確認された場合は、事前に決めた部屋を感染拡
大予防のための隔離室とし、移動を促す。
ウ トイレの防疫、衛生、清掃対策
・清掃及び消毒液の交換は、避難者に当番を割り振り、定期的に行う。
・使用についての注意事項を周知徹底する。
(5) ごみ対策【衛生担当】
ア 集積所の設置
・集積所を指定し、避難者に周知徹底する。
イ ごみの分別化
・可燃・不燃ごみ等に分けて集積する。
・避難者にごみの分別を周知徹底する。
管理班
1 主な任務(規約第5条)
(1) 避難者の受入れ調整
(2) 避難所運営ルールの周知等
(3) 避難者の相談対応
(4) 避難所内の防犯対策
2 管理班の活動内容
(1) 避難者の受入れ【運営担当】
ア 避難者名簿を作成し、管理する。
・避難者(車中泊含む)は全て名簿へ登録する。
・外泊する際は、必ず外泊届等の手続を周知する。
・転出の際は、必ず転出先を記録する。
(2) 避難所におけるルールの周知【運営担当】
ア 避難所内でのルールを周知徹底する。
イ ペット対策
・同行避難者の登録名簿を作成する。
・飼育ルールを飼い主へ周知徹底する。
・飼い主グループを編成し、飼育場所の清掃等は当番制で行うようにする。
(3) 避難者への対応【窓口担当】
ア プライバシーの保護
・更衣スペースを確保するなど、プライバシー保護に努める。
イ 相談窓口の設置
・避難所での様々な悩み、トラブル、苦情等を相談できる窓口を設置する。
ウ 交流場の設置
・談話室等交流の場を設置し、運用ルールを決定する。
・避難所内でのイベントを企画・運営する。
エ 生活再建支援の補助
・窓口を開設し、生活再建支援情報の提供を行う。
(4) 防犯対策【防犯担当】
ア 避難所での防犯対応を決定する。
・巡回パトロールを実施する。
・警察への通報手段を確保する。
イ 自主防犯チームの編成
・避難者にもパトロールへの参加を呼びかける。
食料物資班
1 主な任務(規約第5条)
(1) 備蓄品の管理
(2) 機材及び燃料の手配・管理・設営
(3) 食料物資の手配・管理・配給
2 食料物資班の活動内容
(1) 機材の設置【機材担当】
ア 避難所運営に必要な機材の手配・設置
・避難者等と協力して、段ボールやテント等で間仕切りの設置をする。
・避難者等と協力してライフラインの使用可否に応じて機材の設置をする。
イ 仮設トイレの設置
・設置場所を確保する。
・必要数を把握し、要請をする。
・避難者等と協力して仮設トイレを所定の場所に設置する。
※トイレは、概ね50人に1基とし、女性3に対して男性1の割合とする。
ウ トイレの対応
・使用するトイレに応じて使用方法と衛生管理のルールを確認し、掲示物
等で周知する。
エ 電力の対応
・電源の運用ルールを決定し、使用方法の周知をする。
・発災直後は連絡手段の確保が重要となることから通信機器の充電に配慮する。
オ ガスの対応
・ガスについては、炊出し等で使用するので、施設管理者等の了解が得られるまでは、基本的には使用しない。
・異常がある場合は、カセットコンロやLPガス等の機材を避難者等と協力して設置する。
(2) 備蓄品の管理【物品担当】
ア 物資管理簿を作成する。
イ 備蓄品の管理は各担当と協力して行う。
(3) 物資の管理・配給【物品担当】
ア 日用品・衛生用品の配給
・避難所に設置された備蓄倉庫等から必要な物資等を避難者等と協力して配給する。
イ 不足物資等の要請・受入れ
・物資の集積場所と保管場所を確保する。
・不足物資等の数量を把握し、優先順位をつけて総務班に要請する。
ウ 救援物資等の管理
・避難者等と協力して物資等を分類し、保管する。
・避難所用物資等受払簿を作成し、在庫管理を行う。
(4) 食料、飲料水の管理・配給【給食担当】
ア 食料・飲料水の管理
・暑い時期等、食料の腐敗など衛生管理には、十分注意する。
・高齢者や乳幼児等のニーズ(アレルギー含む)には、なるべく対処するよう努める。
イ 炊き出しの実施
・避難者等と協力して炊き出し場所の設営、炊き出し等をする。
・衛生担当と連携し、残飯・排水は適切に処理する。
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